銀木犀(サービス付き高齢者賃貸住宅 浦安)


投稿者:白山靖彦
認知症VRって,聞いたことありますか?いわゆるバーチャルリアリティという,3D画像システムで,認知症の方の中を体験してみようというものです.研究段階でありますので,詳細は,このぐらいで,今日はその生みの親である「下河原 忠道」さんを訪ねて浦安まで行ってきました.

対談した場所は,下河原さんが建築した銀木犀というサービス付き高齢者住宅の1Fのリビングというかフリースペースでした.玄関には,噂の駄菓子屋があり,至る所オシャレ感満載の建物でした.残念ながらお住まいになっている高齢者の方にはお会いできませんでしたが,職員さんたちも若くて元気はつらつ,「ここは働きやすいですか?」の問に即答で「はい,もちろん」って(笑).

で,高齢者住宅を手掛けた経緯や認知症VRの今後の展望についてもお聞きしました.まず,建築家として,高齢者住宅を設計しているうちに,ある地主さんに「お前も一軒ぐらいやってみたら」と言われ,実際やってみたら面白くてはまった.人と向き合いながら,様々なことに気づき,自分も成長できる.今は,「看取り」にもしっかりと対応し,全体の76%の方がここで亡くなると.これはすごいですね.一般にサ高住と呼ばれるサービスは,何か急変が起こると,救急車で病院に運ぶところが多いのですが,ここでは在宅訪問診療所と連携して看取りまで行う.現在,建設中のものを入れると12棟あるそうですが,借地・借家形式のビジネスモデルで,15棟ぐらいまではいきたいとのことでした.

「認知症」をもっと普通のものにしたい,と.認知症は,認知症というだけで偏見や無理解あるし,それによってすごく生きづらい,だから,認知症になっても社会全体で包み込むような社会に変えていきたい.だから,より正確な知識,そして,特別なものではないことを知ってほしい.確かに,認知症を定義し,施策を考えることで,より認知症を特別なものに仕立ててしまい,偏見や無理解を生むことってありますよね.そのためには,より高度な普及が必要で,そのツールが認知症VRなんでしょう.

レビー小体認知症の方が,ある講演で言われた言葉を教えてもらいました.「我々が時々見える幻視は,近視や遠視と同じなんですよ,近視で眼鏡をかけている人は特別ですか」と.これ,かなり衝撃的な例えですが,我々専門家も,普通の感覚を常に持ち続けることが大切であることを教わった気がしました.これからもバイタリティ溢れる下河原さんの動向に注目です.
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