口の機能はなぜ大事①


投稿者:市川哲雄
 前回、『歯科といえば「虫歯」、「歯周病」となるでしょうが、噛むこと、しゃべること、口をきれいにすることがQoL維持の基本だ』ということを申しあげました。つまり、フレイル予防には『口を使う』ことが重要だと思っております。これから、『口の機能はなぜ大事』かをこの連載の中でつぶやいていきたいと思います。
 1回目は、「噛むことはぼけを防止する」といいますが本当でしょうか。歯科医は,各自の業務の中でそういったことを経験することはしばしばあるでしょう。また、自分たちの存在意義を示すためにもそう考えたいのも当然です。
 最近、「歯の喪失、義歯で噛み合わせを回復していないこと」と「認知低下」関が関係のあることを示す疫学報告で多くでております。でも「歯が喪失」したから「認知低下」か、「認知機能が低下」したから「歯が喪失」したのかの因果関係は不十分です。
私たちは、若い人を対象とした実験ですが、噛むことを指示した場合、認知機能に深く関わっている前頭前野の脳血流量が上がりましたが、歯を麻酔して嚙ませたら脳血流量が上がらなかったということを最近報告(Periodontal tactile input activates the prefrontal cortex. Sci Rep. 2016; 6: 36893、図参照)しました。噛む感覚の重要性の一端を示せたと思っております。でもただ噛んでいればいいのでしょうか?

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